子供ってすごく忙しいですよね。
面白いことを見つけようとして、いつもクルクル動き回ってるイメージです。大人みたいに落ち着いて座ったり、集中して何かをすることとは無縁に思えるかもしれません。
でも親としては少しでいいから一人遊びをして欲しいとか、集中力のある子に育って欲しいと思うかもしれません。
今回はモンテッソーリの考えを借りて、子供の集中力を養うにはどうしたらいいかを見ていきます。
子供の集中力
本来、子供の集中力は大人よりも短いものです。
脳がまだ成長しきれていないため、集中するべき物・感覚刺激・人などにフォーカスを絞れ切れないことが関係します。本を読みながら外の音が気になったり、音楽を聞いている時に後ろを通り過ぎた人を目で追ったり。
集中している時に取捨選択され排除されるべきこれらの外部刺激がどうしても排除しきれずに、入ってきてしまいます。
この分野の専門家によると、子供の平均の集中時間は年齢×2-3分と言われています。
年齢と平均の集中時間の表はこちらです(あくまで目安です)。
子供が集中するとき
集中力が大人に比べて格段に短い子供ですが、時にびっくりするくらいの集中力を発揮することがあります。
例えば私の娘は現在11か月ですが、1日に数回所蔵の絵本を1冊1冊引き出してページをめくったり戻ったりしながら見ている時は30分くらい集中しています。あと、新しい発見をしたとき(たとえば、テレビの後ろに新しい窪みを発見したり、洋服入れのチャックが前に出ていることを発見して触っているときなど)は何分もいじったり見たりしています。
そういう時には私が後ろを通り過ぎても、外で音がしていても構うことなく集中しています。顔も真剣そのもの。「何でそんな物に・・?」というようなものに惹かれている時もあって、見ていてとても面白いです。
子供の集中力を削ぐ大人の行動
子供が集中して何かをしているとき、人によっては声をかけたくなるかもしれません。
「何してるの?」
「何見てるの?」
「何が面白いの?」
「一人で遊べてえらいね」
「上手にできたね」
子供が何をしているのかを純粋に知りたいからという時もあるし、集中して何かに取り組んでいるの褒めたくて声をかけたくなる、という人もいるでしょう。
でも良かれと思ってする声かけが、子供の集中力を削ぐ場合があります。
子供は声をかけられると、
今集中している出来事から意識をそらす
↓
声をかけた人に意識を向ける
↓
声をかけられた内容を理解しようとする
↓
理解に応じて応答しようとする
↓
今まで集中していたことに戻る
というプロセスを踏まなければ戻れないため、そこで集中力が途切れてしまう場合が多くなります。
私も何度か間違えて娘が集中して一人遊びをしているときに声をかけてしまい、その結果、その活動に戻れなくなってしまったことがありました。
集中力を養うにはどうしたらいい?
では子供の集中力を削がずに、集中力を養うにはどうしたらいいのでしょうか?
7つの方法を見ていきたいと思います。
1. 体調をととのえる
集中力を養うためには、基本的な体の健康が必要です。眠かったりお腹が空いていたりすると、中々物事に集中できませんよね。
睡眠・休憩を十分に取り、健康的な食事を規則正しい時間で摂らせることが大事です。
2. 集中力を妨げるものを取り除く
大人でもそうですが、がやがやとうるさい場所、散らかった部屋、人の出入りが激しいところなどは集中することが難しくなります。
また、極端に暑かったり寒かったりしても集中することは難しいので、部屋を快適な温度に保ちます。
子供の環境の中で集中力を妨げるようなものを取り除き、集中しやすくすると効果がみられると思います。
3. シンプルでオープン・エンドのおもちゃ・教具を与える
子供の集中するものは決まっておらず、おもちゃから日用品、家具、外の自然(葉っぱ、石、木の枝、虫など)までさまざまです。色んな物に触れて「これ何だろう」「どうなってるんだろう」と思う事が集中するきっかけになります。
なので、色んなものに触れさせて好奇心を育てることで集中が続くようになります。
おもちゃやモンテッソーリの教具を与える場合はオープン・エンド(遊び方が決まっていないものや沢山の遊び方があるもの - 例えばつみき、カップセット、シルクなどの布、タイルセットなど)がいいと言われています。
これらは自分で考えて遊びを作るので子供の創造力をかきたてるのに一役を買います。「次はどういう風に使おうかな?」と考える事から遊びの世界に入れるので、集中が続きやすいのです。
4. 邪魔しない
モンテッソーリの大事な理念の一つに、子供を個の人間として尊重する、というのがありましたね。
それは子供の時間やスペースに関しても同様のことが言えます。
親を求めることなく一人で遊んでいる時、それはその子の時間であり、誰にも邪魔をされるべきではありません。上記のように大人の声かけなどで邪魔をされると、集中力はそこで途切れてしまいます。逆に一人で長く集中して遊ぶことができるようになると、その分集中力も育ってきます。
もちろん、これは家で一人で遊んでいる場合です。保育園でお友達と遊んでいる場合や家で兄弟・姉妹と遊んでいる場合は当てはまりません。ただ、保育園に行ったり兄弟・姉妹が家にいる場合でも、一人遊びの時間はあったほうが良いと言われています。
5. 褒めない
褒める vs 褒めないの子育て論は後で詳しく書こうと思っていますが、ここでは集中力に関してだけにします。
褒めるという行為は声かけをするということなので、子供が集中しているときには避けたほうがいいと思います。
私がセラピストとしてのトレーニングを受けている時には「子供が自分の望んでいる行為(一人遊びなど)をしている時には必ず褒めなさい」と習いました。褒めることでその行為をする頻度が上がる、と教わりました。いわゆる行動療法です。
その頃はモンテッソーリや他の考え方を知らなかったので「そういうものか」と思っていました。
今では私の考え方は変わり、モンテッソーリや他の教育法の教えのように集中している時は邪魔をしないし褒めないほうがいい、という風に考えています。
6. 声かけしたいときは、子供が活動を終えてから
声かけをしない、褒めない、と書きましたが、それらの行為が永遠にできないかというとそんなことはありません。
子供が何か新しいことを覚えたときや今までできなかったことができた時にはやっぱり声をかけたり褒めたり一緒に祝ったりしたくなるのが親心です。
その場合は子供が遊び終わり、自分の方へ向いたときや休憩する時、おやつを食べる時など自分へ関心が戻った時にするのがいいと思います。
7. 違うことをしなければいけない時は、なるべく事前に知らせておく
子供の集中を邪魔しないと言うけれど、じゃああと5分で家を出て医者に行かなければならないのに集中して遊びだしたらどうすればいいの? と思うかもしれません。
家であってもスケジュールがあり、しなければいけないこと、行かなければいけない場所などありますよね。
もし家族の予定などがあり子供の遊びが終わるまで待てない時、一番いいのはあらかじめ伝えておくことです。
伝え方は子供の年齢によってわかる伝え方でいいと思います。
「あと5分くらい遊んだらお出かけするよ」
「そのぬいぐるみを全部入れ終わったらご飯を食べるよ」
など、子供がわかりやすい区切りを伝えて行為を中断する手助けをしてあげます。
最後に
マリア・モンテッソーリは子供の集中に関してこう書き残しています。
Praise, help, or even a look, may be enough to interrupt him, or destroy the activity...
The great principle which brings success to the treacher is this: as soon as concentration has begun, ast as if the child does not exist. (The Absorbent Mindより)
私の訳で申し訳ないですがつけておきます。
「ほめ言葉、手助けや子供の方を見るという行為だけで子供は邪魔をされ遊びを中断することになってしまう。子供が何かに集中していると思ったらすぐに、その子はここにいない者として扱うのが教師として正しいやり方でしょう」
読んでいただいてありがとうございました!