こんにちは。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
つい先日(2022年9月)、無事に次女となる第2子を産みました。今は仕事で産休をもらっていて、3-4か月くらいで職場復帰する予定でいます。
今日はアメリカでは一般的なバースプランについての記事です。
アメリカで出産をする方、日本でもバースプランを使いたい方などの参考になれば嬉しいです。
バースプランとは?
日本ではどの程度使われているのかはわかりませんが、アメリカでは出産自分の希望や要望を伝えるために事前にバースプランを用意するのが一般的です。
経腟分娩でも帝王切開でも使うことができます。
病院や産院にもよりますが、大体出産予定の2-3週間前くらいまでには完成させて出産予定の産院で産婦人科医・執刀医に渡しておくといいと思います。医者によってはその場で読んで、これはできる、これは難しいかも、など教えてくれます。
どうしてバースプランを書くの?
バースプランは絶対必要なものではありません。アメリカ人でもプラン無しで出産に臨む方もたくさんいますし、存在を知らない人もいます。
ただ、バースプランは自分が希望する出産を叶えるためには便利なツールといえます。出産のときに自分はこうしたい、医者や看護師にこうしてほしい、などを文章にして伝えておくことで、100%の希望は叶えられなくてもある程度は合わせてくれる所が多いと思います。
出産は医者にとっては毎日のことでも自分にとっては一生に一度または数度あるかないか、です。なのでいい経験だった、と言えるためにもどんなお産にしたいかを明文化しておきましょう。
何を書くの?
では具体的にはバースプランには何を書くのでしょうか?
例としては
- お産の方法
- どんな薬・麻酔・医療行為を使って欲しいか(または使いたくないか)
- お産の場所
- 姿勢や体勢
- サポートする人の人数、誰にいて欲しいか
- お産中に身に着けるものや道具の使用
- どんな声がけをして欲しいか
などです。
人によってはお産の前、中盤、終わってから(入院中)などに分けて書く人もいます。
バースプランの限界
ほとんどの方は書く前に理解してらっしゃると思いますが、バースプランには限界があります。病院や産院によって(とくにコロナ禍では)持ち込める物や立ち合い・お見舞いに来られる人の種類や人数や時間などに制限があります。一番厳しかった時は米国でも立ち合いもお見舞いも無しという厳戒態勢でした(2022の今現在は緩んでいるところがほとんどですが)。
なので、バースプランを書いて持って行く際には産院のポリシーやルールなどを確認してください。
また、どんなにプランを書いていてもすべてそのように事が運ぶとは限らないのがお産です。緊急で医療行為(麻酔・手術・切開など)が必要な場合もありますし、医者はどのような場合でも赤ちゃんと母体を守らねばなりません。
なので、その過程でバースプランに合わないことをされることもありますが、それはこちらも事前に承知して柔軟に対応することが必要です。
バースプラン:具体例
では具体例です。今回は私が書いたものを英語と日本語で公開します。
私はかなりリスクの高い妊娠だったので(癒着胎盤でした)、前提として予定帝王切開でした。
ちなみに、米国では経腟分娩の入院が1-2日、帝王切開の入院が3-5日が一般的で、ほとんどの場合プライバシー保護のために個室です。
あとは、産院にもよりますが産後の母乳育児スタートを助けるために母子同室が一般的です。
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Birth Plan (Scheduled C-Section)
Operation (術中)
- Japanese translator for my spouse during the time I am unconscious or hard to talk. If the translator is not available, please use simple English and talk to him slowly (use visuals if possible)
- 私が意識がない時や話せない時に、夫のために日本語の翻訳家を付けてください。もしいない場合は英語での説明を簡潔にゆっくり(視覚支援があるのならそれを使って)話してください
- My spouse will stay with me in OR as long as it is medically appropriate
- 可能な限り夫を私と一緒に手術室にいさせてください
- Please explain all medical procedures (shots, IV, tubes put-in, cuts) and their purpose/risk/duration, etc. beforehand
- すべての医療行為の目的、リスク、治療にかかる時間などをあらかじめ説明してください
- Check to ensure numbness before cutting
- お腹を切る前に麻酔が効いているかを十分確認してください
- Bikini-cut as much as possible
- なるべくお腹は横に切ってください
- Please keep my one arm free to touch my spouse and hold baby
- 1つの腕を夫や赤ちゃんに触れるように解放しておいてください
- A warm blanket on me during surgery if possible
- 温かいブランケットを体にかけてください
- Photos in the OR (will shoot only myself and my spouse)
- 夫に私との写真を撮らせてください
- Please let me play music of my choice in the OR
- 手術室で私が持ち込んだ音楽を流してください
- Above all, put my life and my baby’s life as priority
- 私と赤ちゃんの命を最優先でお願いします
- Blood transfusion as needed
- 必要な場合は輸血をしてもらって構いません
- Explain any medical irregularities/complications and be transparent with me
- もし医療上変わったこと、緊急を要することがあったら包み隠さずにすべて教えてください
- If baby is healthy, I want to do Skin-to-skin, as well as my spouse
- もし産まれる赤ちゃんが健康ならカンガルーケアをさせてください
- Doctors can cut umbilical cord for us
- へその緒はお医者さんが切ってくれて構いません
- Use dissolvable stitches, instead of staples
- ホチキス留めではなく、自然に溶ける糸を使って縫合してください
- Record the time of birth, height and weight of baby and let us know
- 出産した時間、身長、体重などを記録して教えてください
Postpartum(術後)
- No visitors except for my spouse
- 夫以外にお見舞いに来る人はいません
- Explain pain medications (effectiveness, side-effects, etc.) and let me choose
- 痛み止めの種類や副作用などを説明して私に選ばせてください
- Give me stool softener
- 便秘薬(酸化マグネシウム)をください
- Please help me walk
- 歩行訓練を助けてください
- I want to try breastfeeding so please help me. I will welcome the Lactation Consultant
- When taking my baby out of the room, show me the employee badge and tell me the reason and how long you will take her
- 赤ちゃんを部屋の外に連れて行く時は私に医療者のバッジを見せて、どんな目的でどのくらい連れだすのかを教えてください
Baby Care(赤ちゃんのケア)
- Please give Vitamin K shot
- ビタミンKの投与をお願いします
- Please give Hep B vaccine
- B型肝炎のワクチン投与をお願いします
- You can also give eye ointment
- 目の軟膏も必要なら与えてください
- Inform us any special conditions/medical intervention needs of the baby ASAP
- 赤ちゃんの健康や必要な治療をすぐに教えてください
- If the baby needs to go to NICU, I want to deliver my breast milk as much as possible
- もし赤ちゃんがNICUに行くのなら、なるべく自分の母乳を届けたいです
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バースプランはとても個人的なものなので、この例と合う方も合わない方もいると思いますが、書き方など参考になれば嬉しいです。
他の方のバースプラン(経腟)を参考にしたときはこの他に
- パートナーと自分のドゥーラを同伴させたい
- 産むまで性別を伏せてほしい
- 扇風機を持ち込みたい
- 臍帯血を保存したい
- water birth(水中出産)をしたい
- 無痛にしたい
- 逆に薬を一切使わないで欲しい
- 足を固定されたくない
- うつ伏せで産みたい
- 胎盤を食べたい(びっくりしましたがそういう方がいるみたいです)
- へその緒を自分で切りたい・持ち帰りたい
などいましたよ。
実際に叶えられたこと・叶えられなかったこと
私は36週で帝王切開の予定だったので、バースプランを32週くらいの時に執刀医に提出しました。それは私のメディカルチャート(医療のデータが入るファイル)に入れられて当日までに麻酔医や看護師さんたちにシェアされるようです。
提出した時に、すでに夫のカンガルーケアは今回は難しいかもしれないと言われました。コロナ病棟ができた影響でリカバリールームが狭く相部屋かもしれないからという説明もありました。
手術が終わった今振り返ると、だいたい80-90%くらいのことは叶えてもらえました。夫に日英通訳用のタブレットをもらって当日はリアルタイムで電話で通訳の人と繋がりながらの手術にしてもらえたし、音楽もブランケットもかけてもらったし、術後と赤ちゃんのケアの項目は100%叶えてもらいました。
叶わなかったことはお腹を横に切ることと、術後すぐにカンガルーケアをすることでした。
お腹は子宮摘出の可能性があったので縦に切るのが一番安全だと手術当日に言われ、赤ちゃんが産まれてから呼吸が安定しなかったのですぐにNICUに行く必要があり、カンガルーケアはできませんでした(術後3日後くらいにできるようになりました)。
さいごに
私は長女の時も次女の時もバースプランを書いて提出しました。長女の時はカリフォルニアで出産、今回はハワイでの出産になりましたが、どちらの時も書いて良かったと思いました。先生は意外とバースプランを真剣に読んでくれて、対応できるところは対応してくれ、できない時はできない理由を説明してくれたのでこちらも納得することができました。
出産はただでさえストレスフルなイベントですので、バースプランを上手く活用して自分が心から良かったなぁと思えるお産になるといいなと思います。