こんにちは。
すっかりご無沙汰になってしまい、本当に申し訳ないです🙇♀️
今仕事を3か所でやっているのですが、
3つ目の大学講師の仕事が初めてということもあり、研修からの2-3週間は
慌ただしく、ここまで週末返上になってしまいました。
今日のテーマは言葉の引き出し方。
娘と同じくらいの1歳半から2歳半くらいの月齢は
言葉を喋るのの早い・遅いの差が一番目立つ時期だと思います。
それに加え、発達障害などの症状がわかりはじめるのもこのくらいの年齢なので、
診断が下りる場合、ボーダーラインと言われる場合、
診断は付かない場合など、親御さんの子供の言葉への心配は様々。
私は仕事上18年ほど自閉症療育に関わっていることもあり、
言葉が全く出ない(ノンバーバル)場合から
音や言葉は出ているが通じるところまで達していない(セミバーバル)、
文章で話しているが人との適切なコミュニケーションスキルがない場合など、
様々な年齢や段階の子供達を見て療育指導してきました。
ツイッターをフォローして下さっている方はご存じだと思いますが、
今回娘が早期介入サービスの一環でスピーチセラピーを受けることになりました。
娘は発達障害の症状はないので、言葉を正しく発音して喋るのが苦手
という所にいます。
ということで、療育する側と受ける側両方になった私です。
今回はそんな私が行動療法とスピーチセラピーの療育方法の中から、
家庭でできる療育法をお伝えします。
「様子を見ましょう」の呪詛
1歳半健診などに行き、言葉が基準より出ていない時に言われることのある言葉です。
小児科医にも様々な先生がいらっしゃって、子供の言葉の発達や発達障害にとても詳しい先生も多いです。
ですが中にはあまり詳しくない先生もいて、基準よりも言葉が遅くても
「様子をみましょう」と次回に診断を伸ばす場合があります。
この「様子を見ましょう」という言葉、一見無害のように思えます。
ほとんどのケースは、子供それぞれの時間軸でだんだん言葉が出て来るので心配する域にはないと思います。
ただ、子供の中には半年・1年・1年半後も同じことを言われるだけというケースがあり、親御さんがその通りに受け取って特別なことを行わないまま
時間だけ過ぎてしまうことがあります。
「呪詛」というのは強い言葉かもしれませんが、先生の言葉を信じてただただ様子を見た結果、2年・3年後、子供が言葉を話さないままになってしまった、
という話を聞く度に悲しく思います。
子供にとっての1日は大人の1日に比べ、新しい情報を吸収し学んでいく
量とスピードが全く違います。
なので正しい療育法で言葉を練習する機会をその期間奪ってしまうのは
もったいないことだなあ、と私は思います。
なぜ家庭での療育が大事なのか
療育の基本は時間数と練習(トライアルと呼びます)の量です。
一般的には時間をかけてすればするほど、またトライアル数を
多くするほど成功率は高くなります(正しくすることが前提ですが)。
ところが、例え子供が小さいうちにASDなどの診断がたとえ下りたとしても、
長い療育の時間数を研修を受け免許を持った人に受け持ってもらえるのは一握りです。
1、2週間に一度、場所によっては1か月に一度というところもあるくらいです。
また、アメリカでも保険で適用になる場合、ならない場合など
住んでいる地域によって差があります。
ほとんどの地域では療育者も不足しています。
ASDなどの診断がない場合は保険適用とならないのが普通です。
そこで、家庭ですることが大事になってきます。
療育の指導を長く行ってきた自分でも、親御さんが私たちの療育セッション外の時間で練習しているかしていないかで伸びのスピードが違うと思っています。
また、業界では最近「Parent-led」といい、親に専門家が指導して、親に自分の子供を療育してもらうやり方も増えてきています。
療育とは、外国語を学び始める時や楽器を習い始める時と似ています。
毎日練習するということと積み重ねが大事で、なかなか「魔法の方法はない」のが現実です。
だからこそ正しいやり方の基礎を学び、子供一人一人に合った調整をしていくのに親の役目は重要だと思います。
親の役割は要・でも親のせいではない
療育現場で上記のように親の役割が重要であり、成功のカギを握っていると説明すると、中には
「私の今までの接し方が悪かったんじゃないか」
と心配される親御さんがいます。
もっと話しかけていれば、もっと絵本を読んであげれば、テレビを見せるのをやめていたら、保育園に通わせていたら、保育園に通わせず自分で見ていたら、など、自分の接し方が悪かったせいで子供の言葉が遅かったのではないか、と考えてしまう方が多いです。
これはほとんどの場合で正しくないと、私は思います。
エビデンスなど特にない話になってしまいますが、今まで発達障害がある子・ない子・ボーダーラインの子などをたくさん見てきて決定的に親に何か不注意や育て方に問題がある場合はほとんどありませんでした。
ただ、絶対にないとも言い切れないです。
それは、決定的な虐待・育児放棄があった場合です。
あるお子さんを外国から養子に迎えたケースを担当させていただいた際、その子が生まれてから2歳後半になるまでほとんど人と話さず、人に話かけられず、暗い部屋でテレビだけを見せられミルクだけを与えられていた記録がある、と教えていただきました。
その子の言語発達は確かにとてもゆっくりで、ASDなどの症状はなかったものの、ほかのケースより沢山の時間とトライアル数を必要としました。
ただ、このようなケースは稀だと思います。
このような事例を除いて、ほとんどの場合は子供が本来もって生まれた得手・不得手とその子の時間軸のようなもので、早い遅いは個性のうちだと思います。
なので、一番言葉が早い子の親が一番素晴らしい、ということではないし、その逆も然り、と思います。
専門家との二人三脚
家庭でできる療育と言っても、専門家の協力は必要です。
お住まいの地域で受けられる最大限の療育と専門家への相談をしながら進めていくのが理想で、家庭での療育はプラスアルファ、もしくは足りない部分を補うものであり、専門家の存在や仕事に取って代わるものではありません。
特にASDスペクトラムの傾向がある場合、言語だけでなく様々な日常のスキルが影響を受けることが多いので、言葉だけでなくもっと包括的な療育の方が適しています。
その前提を踏まえた上で、中・後編では具体的な療育方法をご紹介します。