Rimの家庭でできる「ゆる」モンテッソーリ子育て in Hawaii

ハワイでのワーママ子育て雑記。ハワイ生活、モンテッソーリ、RIEペアレンティング、発達心理学などのテーマも。

子供の言葉の引き出し方 - 家庭でできる療育(中編)

後編とする予定だったのですが、書いていたら思ったよりも長くなってしまいました。

なので、今回は中編です!

子供の言葉の引き出し方、今日からすぐに使えるやり方をいくつかご紹介します。

また前提が長くなってしまいましたが、お付き合いください。

 

 

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 マイルストーンの理解を

子供の言語発達にはある程度のパターンがあるとされていて、それによってそれぞれの月年齢でのマイルストーン(基準)が定められています。

言語発達のめやす、や、言葉の発達段階、などで検索していただくとそれぞれの月年齢でどの程度を話すのが基準なのかがわかると思います。

マイルストーンよりも先行したり、もっと高度な言葉を教えようとしても中々上手くいきません。なぜかというと、下記でも触れますが言葉というのは認知や知能、運動や感覚などと密接に関係していて、それらが一緒に発達することで言葉も発達していきます。なので、マイルストーンを知ってそれ以上を無理に子供に求めないことも大切なのです。

 

何故話さないの? 原因を探る

マイルストーンを参考にし、子供の言葉が基準よりも遅れているとき、下記のやり方で練習を始める前に以下のことを必ずチェックしてください。

何故かというと、これらが当てはまる場合は話す準備がまだできていないからです。

 

1.聴覚に問題はないか

 聴覚に問題があり、相手の話すことが上手く聞き取れていないとき、言葉の音を正しく聞いて自分で正しく発することは難しくなります。もっと踏み込んだ療育や他の分野のケアが必要になるので、子供の言葉が遅い場合は必ず聴覚健診を受けてください。

 

2.発達障害がないか、また認知や知能に問題はないか

前編でも触れましたが、発達障害や認知の発達の遅れがある場合、言語もそれに伴って遅くなる傾向にあります。なので言語だけでなく全体的発達に心配がある場合、言語練習していくことも無駄ではないですが、包括的な療育を受けられる所を探すのが一番だと思います。

とはいえ、専門機関での療育を受けるまでに時間がかかったり、思ったサービスを受けられないという場合もあると思います(アメリカでもそうです)。

これらの場合やもう専門機関で療育を受けており家庭でもできることを、という場合は以下の練習方法は参考になると思います。

 

3.口の筋肉や構造に問題はないか

正しく発音するためには口の構造や筋肉が正しく発達していることが必要です。口を大きく開けたり、唇を尖らせたり、息をふーっと吹いたり、舌を出して色んな方向に動かしたりして口の筋肉を強くする練習をすることで、発音が良くなってくることがあります。言葉を教えるのと同時に口を動かす練習をするといいと思います。

 

言語練習の前に、共同注視(Joint Attention)

以前、共同注視の記事を書きました。

言語発達の練習の際、共同注視ができると進み方が早いです。

ASDなどがある場合、共同注視が苦手というお子さんが多いので、言語練習ができなくはないですが共同注視を練習して上達が見えてから言語練習に入ることをおすすめします。

共同注視の記事はこちら:

www.rimpsychology.com

 

受容言語が先、その後に表出言語が続く

言葉を話す際には基本的な受容言語(言葉の理解)が大前提になります。

いくつかの音のセット(例えば「ぶ」と「た」で「ぶた」)が身の回りの物や出来事を示していること、それが何であるかを理解することが言葉を表出として出す前には必要です。

物の名前以外にも動詞・身振り手振り・命令や要求・感情表現など、基礎的なレベルで話しかけられた内容の理解が進むことで言葉が出やすくなります。

もしお子さんが言葉の理解自体があまりできていない時は、表出(声を出して話す)を直接教え込むよりは受容言語のほうを集中的に練習したほうが近道と言えます。

 

受容言語の練習に良いのは:

 

1.〇〇どーれ?

絵本、絵カード、写真など見慣れている物が2-3個並んでいる中から特定の物を選んでもらう

例えば、りんご、うさぎ、車の絵を並べて見せて、「うさぎどーれ?」

 

2.強調読み

絵本を読んでいる時すべてを流して読むのではなく、絵の中から簡単な名前の絵を指さして「にんじん!!」など、強調(大きな声でイントネーションを付けて)して読むと名前が入って行きやすいです。

 

3.ナレーション

子供が遊んでいる時やお手伝いをしてくれている時、簡単な言葉で行程をナレーションしてあげると言葉が入っていきやすいと言われています。

ここで大事なのは、ベラベラと長文でずーっと喋るわけではない、ということです。

 

基本は今のレベルから1アップ

  • 子供が音しか出ていない時は → 単語
  • 単語がたくさん身についたけど2語文はまだ → 2語文
  • 2語文(名詞・動詞)はたくさん話す → 形容詞や形容動詞をプラス

 

娘を例にとると、単語が20-40出始めたくらいなので、ほとんど単語でやっています。

「つみき」「赤」「入れて」「こっち」「いいよ」「やったぁ」「もっと?」「つみき」「青」「入れて」「入った!」

みたいな感じです。

大事なのは、子供が場面場面でもう少しで言えるであろうことを代弁してあげる、ということです。

 

出ている音や単語を分析し、次段階の目標設定

聴覚や発達障害や口の筋肉の状態を確認し、共同注視や受容言語なども練習し、子供の受容言語が増えてきたな~と感じたらいよいよ本格的に表出言語の練習に移る時期です。

何でもそうですが、始める前にすべきことは現状把握目標設定です。

クライアントさんを担当する場合、どんな音が出せてどんな単語を知っていてどんな単語が言えるかなど書き出し、表にし、日付をつけて記録します。

が、今回は「家庭でできる」なのであくまでどの程度言葉が出ているかを知る程度でいいと思います。

「言える言葉」「もう少しで言えそうな言葉」「受容(理解)できているけど表出できない言葉」「受容もできない言葉」と、「今言える音」などを把握し、書き留めて置くといいと思います。

毎日だんだんと変わるので週1くらいでアップデートしてください。

 

下の表は娘のSLP(言語療法士)がくれたものです。英語版しかないのですが、日本語も探せばあると思います。

年齢によって比較的始めに出やすい音と後の方に出る音があるそうで、これは口のどの部分をどう動かして音を作るかに関係しているそうです。上の数字が音が出始める年齢です。

この表を見ると、始めの頃は口の前の部分(唇)を使う音が比較的出やすいのがわかります。

 

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Sander (1972), Grunwell (1981) and Smit et al. (1990)

 

 なので単語が出ていない場合はこの辺りの音が出ているかを確かめ、これらの音が続く単語「まま」「ぱぱ」「みみ」「ばぁば」「ばいばい」などを練習するのがいいと思います。

音が繰り返す単語は比較的初期でも言いやすく、口を複雑に動かさなくても言葉になるので、子供も親も達成感が得やすく、練習のモチベーションも続くことが多いからです。

今の自分の子の言葉の状況が把握できたら、次の段階を目指して目標を設定します。

下の表は福井市福祉保健部子育て支援課からお借りしました。

目標設定の参考になると思います。

 

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ウェブサイト https://www.hagukumu.net/column/papamama/p007861.html より

 

興味のあること、好きなものを把握する

言いやすい音と言いにくい音がある、という内容を上記しましたが、親が家庭で療育する場合、あまりこの辺りの細かいことにとらわれる必要はないと、私は感じています(そうでない療育者ももちろん多いです)。

 

何故そう思うかというと、子供の言葉を引き出すのに一番大事なことはいつでも「話したいと思う気持ち」、つまりモチベーションにあると思うからです。

言葉というのは鍵みたいなもので、色んな扉を開ける道具みたいなものです。

たくさん話せるようになれば欲しい物が的確に手に入るようになるし、好きな人と気持ちが通じ合うようになるし、楽しい時間が過ごせます。

だから言葉を覚えること、言えること、使うことはいつでもつまらない「訓練」でも「試練」でもただの「学習」でもなく、人生を豊かで楽しいものにするため、というポジティブな気持ちで取り組んで欲しいなと思います。

 

なので、言葉を教える際に一番先にすることは子供の好きな物や興味のある事を探すことです。

ここは家庭で親が療育をする際の大きな利点です。なぜなら複数のクライアントを抱えて一人の子供に集中できる時間が少ない療育者に比べて、子供の好きな事や物を常に把握しているのが私たち親だからです。

 

ここで一つ例を。

娘がまだ2-3つしか単語を言わなかった時、本の中を指して「しー」とか「あっしー」と言い始めました。

その時はあまり深く考えていなかったのですが、2,3日後になって娘が「タクシー」と言っているのだと気が付きました。

娘は歌がとにかく好きで、その時に大好きだったのが「はたらくくるま」。

その中の「昼でも夜でもどこへでも、はーい、タクシー」という部分が好きで、歌がかかって片手を挙げながら「あっしー」と言っているのを見て、本の絵を改めてみたら確かにタクシーの絵だったので間違いないと思いました。

TとKとSの音が入っているのであまり言いやすい言葉でもないのですが、娘がそれを繰り返し言って楽しんでいるのでタクシーを教えるリストに加えました。

色んなタクシーの写真を見たり、動画を見たり、絵を書いたり、歌を歌ったりしてタクシーを娘と堪能しました😂

今は興味が他の歌に移ったのですが、その時に言えるようになった「タクシー」は今でも言えるし、「好きなものを追う力」を改めて感じた出来事でした。

 

だから教える言葉は基本的に子供が好きなものがいいです。

動物好きの子だったら動物の名前、お菓子が好きならお菓子の名前など、何でもいいから子供の興味が続くものが一番成功率が高いと思います。

 

好きな物の名前を言う

その物が手に入る(もっと見たり聞いたり実際にもらえたりする)

 

というサイクルが多ければ多いほど、子供はその言葉を覚えやすくなります。

 

後編に続きます!